広島県
〇国立広島原爆死没者追悼平和祈念館
https://www.hiro-tsuitokinenkan.go.jp/index.html
■全体構成
全体は「平和祈念・死没者追悼空間」「遺影コーナー」「情報展示コーナー」「体験記閲覧室」の4部構成で、追悼空間がメインとなっています。
■平和祈念・死没者追悼空間
祈念館の入口からは、追悼空間スロープを下って、地下1階の追悼空間に行きます。スロープは逆時計回りになっていて、これは時計の針と逆に進むことにより、昭和20年8月6日まで時間をさかのぼるという意味が込められています。また、スロープ部分の壁の一部は、被爆時の土が使用されているとのことです。
追悼空間は円形で、中央には時計の8時15分(原爆投下時刻)を表すモニュメントが設置されています。このモニュメントの真上の1階部分にも同様のモニュメントが設置され、周りには被爆した瓦を配置し、水を求めて亡くなられた犠牲者のために噴水も設置されていました。
追悼空間の円形の壁には、米軍が撮影した被爆後の広島の風景がタイルで描かれています。このタイルの数は14万枚で、被爆した昭和20年12月までの死者数である14万人を表現しているとのこと。
この空間は中央のモニュメントと壁の被爆後風景だけで、他に展示物はなく、原爆犠牲者を静かに追悼する場所となっています。追悼の仕方などは各自に委ねているとのことでした。
時間をさかのぼるという半時計回りのスロープと静かに追悼する空間は、都の東京空襲を追悼する記念館建設にも適用でき、参考になります。
■遺影コーナー
原爆死没者の遺影とお名前が、大型モニターに表示されます。
検索装置があり、名前で登録情報を確認することもできます。検索すると、大型モニターに表示される時刻などを確認することができました。
遺影は遺族から寄せられた写真を使用しています。顔写真1枚だけでなく、家族と一緒に撮った写真などを複数枚登録することも可能とのことです。
遺族間でも登録や公表の意見が分かれることがあるため、登録時には遺族間の紛争は遺族が解決する旨を申請書に記載してあります。都でも遺影などを集める場合、この記載は必要だと思います。
なお、遺影登録には死亡年月日が必須のため、希望者は多いけれども生前登録はしていないとのことでした。
原爆犠牲者の場合は原爆手帳を保有している方が多く、原爆手帳保有者に郵送、あるいは遺族が原爆手帳を返納されたときなどに登録申請用紙を渡して遺影の登録を求めているとのこと。東京空襲犠牲者の遺影を集める場合は、手帳などがないので、新聞広告などの広報が必要になると思われます。
■情報展示コーナー
緊急事態宣言解除直後のため、視察時には使用していませんでした。
企画展を開催したり、遺品を展示する場として使用しているとのことです。
■体験記閲覧室
被爆体験記が収められた書物や、証言映像などが閲覧できる部屋となっています。
自分で体験記を執筆することは労力がいることから、口述筆記も引き受けているとのこと。
口述筆記の場合、3名から4名で被爆者のもとに出向き、聞き取りを行うことが多いとのことでした。
また、こうした体験記を伝えるために、訓練を受けた語り部を派遣しているとのことで、学校からの依頼が多いとのことです。
■運営
祈念館の建設は国ですが、運営は広島市の公益団体に委託しているとのことです。
入場料などは無料で、費用は国費で賄われています。
都の施設は、追悼する空間は入場無料で、展示館は有料とするのも一案ではないかと思います。
■連絡先
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館
〒730-0811 広島市中区中島町1-6
TEL 082-543-6271 FAX 082-543-6273
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